双極性感情障害(躁うつ病)での休職・復職の一例

42歳男性、金属製品メーカー勤務。中途採用、入社1年未満。製品や材料の受発注システム管理のエンジニア業務に従事していた。

入社後間もない頃から遅刻や欠勤が目立つようになった。一方で遅い時間まで残業することもあった。次第に気分の落ち込み、不安焦燥感、不眠などの症状を認めるようになり、受診中の心療内科で「抑うつ状態」との診断書が発行されため休職となった。

休職中は、自宅療養し通院による治療が行われた。休養・内服治療により症状は徐々に改善した。約5か月間の休職後、主治医より「復職可能」との診断書が発行された。

これを受けて本人と産業医面談を行った。まず、体調面では抑うつ症状などはほぼ消失しており、睡眠状態も良好であった。生活リズムも整っており、日中の活動性も改善されていた。しかしながら、服薬内容を確認するとリチウム製剤が処方されていた。休職前の症状を確認してみると、残業が多くなった理由として業務能率の低下に加えて、気分的にややハイテンションになって必要以上に仕事をしようとしていた傾向がみられた。また、不眠に関しても眠れないというより何かをしていないと気が済まないという感じとのことであった。主治医からの正式な診断名を聞いたところ「躁うつ病」であることが分かった。前職の時から発症していて、周期的に躁状態と抑うつ状態を繰り返しているとのことであった。今回も抑うつ状態になる前に躁状態であることは自覚しており、その前駆症状(前ぶれのようなもの)もある程度分かるとのことであった。通院は、発症当初からきちんと継続されていた。

以上の点から復職自体は可能と考えたが、今後は躁状態に十分注意し自覚症状が出始めた時点で速やかに相談するよう指導した。当初は定時内勤務とし、業務負荷も徐々に増やすことにした。復職後は定期的に通運を継続し、症状もよくコントロールされていた。数か月後には、通常勤務に戻った。

「抑うつ状態」「うつ病」と診断されて休職する事例の中には、復職時に「躁状態」も併発していることが判明する場合があります。軽躁状態と抑うつ状態を繰り返す双極Ⅱ型障害(いわゆるⅡ型躁うつ病)が目立つようになってきたことが背景にあると考えられます。この事例も休職前の本人からの症状申告や診断書内容からは、双極性感情障害(躁うつ病)であることはわからず、復職時に病歴や服薬内容を確認してはっきりしました。やや病歴が長く症状変化への自覚がある程度あったことや通院・内服をきちんと継続していたことなどから、比較的円滑に復職できました。抑うつ症状によるメンタル不調や休職事例では、軽躁状態の確認も重要と考えられます。